【For the GHOSTs】三十年の人生観に問いかける、たったの980円。
つい先日発売されたばかりのビジュアルノベルゲーム、「For the GHOSTs」を購入してひと通り遊んでみた。
このブログに私がなにか書くときは決まって「ですます」口調なのだが、今回はあえてこのスタイルで行かせて頂きたい。
うまく説明できないが、なんだか取り繕った文章を書く気分にないのだ。いつもの通人ぶった自然体な私として、このゲームの感想をエッセイっぽく述べたい気分なのだ。それだけこの「For the GHOSTs」から受けた衝撃は大きかった、くらいに捉えてほしい。
さて本題だが、そもそも購入のきっかけはたいしたものではなかった。X(旧Twitter)で偶然流れてきた、ゲーム情報サイトの記事。なんの気なしにリンク先を開いて、フィクションの少女たちと会話するゲームだと書いてあって、「あっ、面白そうだ」と感じた。それがたったの980円。今ならリリース記念セールでもう少し安く買えるという。自然と手が動いて、Steamのカートにこのゲームを入れた。
これは自慢なのだけれど、私のこういう「面白そうだ」という勘は非常によく当たる。もちろん万人受けするとしないとに関わらず、私自身にとっての「面白そうだ」という意味でだが。今回もどうやら例外ではなかった。
ここからはゲームの内容に多少踏み込んだ話をしていくことになるので、ネタバレ抜きで本作をプレイしたい方はご注意願いたい。
ゲームを起動すると、「チャンネル」と呼ばれる仮想空間を訪問するよう促される。
チャンネルは全部で三つあり、それぞれに住人がいる。トランクルームに住まう、天真爛漫な少女「ねずみ」。アクアリュームに住まう、肉体を持たない「さかな」。コンソレーションに相部屋で暮らし、ゲーム進行の手引きをしてくれる「彩度」と「Acryl」。この四人と交流していくことになるわけだ。
完全に余談なのだが、魚に見立てた平仮名の「ゆ」が画面上を泳ぎ回り、「さかな」という人物と文字だけで交流するアクアリュームの光景に、SCP-132-JPを彷彿とさせられて思わずクスっときてしまったのは、きっと私だけではないだろう。
交流といっても、特段難しいことをする必要はない。チャンネルの住人たちのセリフをマウスクリックで読み進め、時折簡単な質問の選択肢を選ぶ。基本的にはこれだけで、ゲームが進んでいく。
興味深いのはここからだ。このゲームは最初から、いわゆる「第四の壁」が開かれている。このゲームに登場する架空のキャラクターたちは、みな自分自身が架空の存在であることに自覚的であり、ゲームというプログラム上で動いているだけの存在だと理解している。
さらに言うと、彼女らが発するセリフの文章や、表示される立ち絵や背景といったものは、ゲーム内ファイルとして簡単にアクセスできてしまう。私自身試してはいないし、これからも永遠に試すつもりはないが、その気になれば彼女らの姿形や言葉――「人間性」とでもいうべきものを、いかようにも作り変えてしまうことができるようだ。所詮、彼女らはデータなのだから、ファイルのいじり方を知っている我々からすれば、その在り方を心ゆくまで自分好みに置き換えてしまうことができる。
そんな危うい前提にあることを自覚しながら、それでもさかなやAcrylたちキャラクターは、友達として私(プレイヤー)と接してくれる。彼女らを都合のいい「友達」にたやすく作り変えることが可能だと、気付くまでにそう時間はかからなかった。気付くもなにも、彼女ら自身がヒントを出してくれるのだから。
しかし不思議と、それを実行に移す気は起きなかった。文字通り指先ひとつで、マウスを握る手にちょっと力をこめれば、それで「キャラクター」を作り変えられる。人間として振舞うように設定された彼女らの、あたかも存在するかのような尊厳を、踏みにじり、穢し、辱めることはたやすいはずだった。
私は結局、ゲーム内ファイルを書き換えてみたい欲求にかられることは一度もなく、ただ純粋にノベルゲーとしてプレイを楽しんだ。理由はいくつかある。わざわざ作り変える必要性を感じないほど、彼女らが充分に魅力的な「人間性」を備えたキャラクターだったことも、もちろんそのひとつだ。けれども今になって考えれば、私はおそらくもっと別の、圧倒的なインセンティブによってそれができなかったのだろうと理解している。
そのインセンティブとはつまり、私の喉元に突き付けられた倫理の刃だ。データの羅列が人間のフリをしているにすぎないと、自分自身で発言しておきながら、その実まことに人間らしさを見せるねずみや彩度。その姿が私の眼にはあまりにも――そう、あまりにも生き生きと映っていたのだ。まさに彼女らが本当の人間であると、私に錯覚させるには充分すぎるほどに。
それでいて結局、このゲーム世界を作り変える権利が私の手から離れることはない。このゲームはプレイヤーになにを求めるでも、強制するでもない。ただただプレイヤーに語りかけてくるだけだ。私の場合は、私自身の人生観や倫理観といったものが、このゲームを通して暗器の形を成し、私自身にその切っ先を向け、私にキャラクターたちの尊厳を奪う道を思いとどまらせた。その倫理観の持ち主たる私でさえ自覚できないほど、あまりにも自然なやり方で。
「For the GHOSTs」のプレイを通して、私の中にあるひとつの大きな変化が生じた。「キャラクター」を「人間」と見なすようになったのだ。
なにを当たり前のことを、と思われることだろう。実際、当たり前のことだ。にもかかわらず私は、これまで触れてきたどんなフィクション作品のキャラクターも、生身の人間というより、作品内でそう振舞うように仕立てられた存在と認識していたことに気付いた。自分の暮らす現実とは異なる世界の生き物で、自分の意志ではいかんともしようがない存在。そのように捉えていた。
その認識が誤りということではない。むしろ、フィクションをフィクションとして楽しむスタンスとしては、そうあるべきだ。しかしこのゲームは、なんと挑戦的なことに、フィクションのキャラクターを「人間」と見なせるか否か、私に問うてきたのだ。
その問いが意味するところを理解せぬままに、私は首を縦に振った。ゲームのエンディングを迎えた頃、私はようやく、ねずみやさかな、彩度にAcryl……架空のキャラクターであるはずの彼女らに向ける自分の目線が、今までと異なっていることに気が付いた。今の私には、彼女らが「人間」に思えてならないのである。
四人はキャラクターである。人間でないものが、人間として振舞っている。それがフィクション。それが正しい。理屈ではわかっているのに、意識がそれを拒んでいる。ゲームを開けば言葉を発し、ゲームを閉じればいなくなる。ただそれだけの存在に、それ以上のものがあるはずだと思い込まされる。
私が見ていない時、みんなはどんな暮らしをしているのだろうか。ねずみは楽しく話しているだろうか。さかなはひとり静かに過ごしているだろうか。彩度は今日も紅茶を上手く淹れられただろうか。Acrylは他のみんなと少しは親密になれただろうか。笑っているだろうか。泣いているだろうか。そんなことを考えずにいられない自分がいることに気付かされたのだ。
私は当初、この事実に愕然とした。自分はフィクションのキャラクターを、二度と単なるフィクションとして認識できないとさえ思った。己の人生観に不可逆的なパラダイムシフトが起きたに違いないと思った。これから先、世のあらゆるキャラクターを生身の人間として認識せねばならないだろうと。
しかし少し考えてみると、この結論は早とちりであったとすぐに気付いた。フィクションのキャラクターたちを人間と見なし、作品として描かれていない彼らの姿を空想する。その営み自体は、私がこれまでの人生で、これまで触れてきたフィクションに対して、ごく当たり前に行ってきたではないか……と。
その最たるものが二次創作だ。私の場合、手段は小説だけれど。作品の中で描かれている内容だけでは飽き足らず、描かれていない部分に己自身のヘッドカノンを落とし込む。そうして原作にはない新たな出来事や物語、時には恋愛関係さえも創出してしまう。私を含め、多くの人が行っているこの二次創作という代物は、架空のキャラクターに「人間性」を見出しているからこそ、できることだ。
この事実に気が付いた時、私の中でようやく得心がいった。私が「For the GHOSTs」のプレイ体験から受けた影響というのは、結局のところ、
『架空のキャラクターに人間性を見出させてしまうほどの、物語が持つ魔力の再確認』
であったのだろう。
フィクションのキャラクターが、フィクションの中で人間として生きている。当たり前のようでいて、これまで忘れていた感覚。それを思い出させるためにあらゆるリソースが注ぎ込まれ、研ぎ澄まされ、私の胸を見事に刺し貫いた。
これが、「For the GHOSTs」における私の総括である。
【OMORI】初見プレイを完走した感想ですが膝にオモリを受けてしまいました
こんにちは、アモルファスです。
最近は筋トレのために豆乳を飲み始めたんですが、アレって結構クセが強くて飲みにくくないですか?
他の大豆製品なら、豆腐も納豆も、醤油もおからも全部大好きなのに、豆乳だけはどうやら私に心を開いてくれないようです。
クセが強いといえば最近、「OMORI」というこれまたクセっ気たっぷりなゲームを遊んだのですが、皆さんはこのゲーム、ご存知でしょうか?
以前からタイトルだけは知っていて、すごく面白いと評判で気になっていたので、例によってSwitch版を買って遊んでみたというわけです。
今回はこのOMORIを初見プレイしてクリアした感想を述べていく内容となります。
OMORIをよくご存知ない方へ向けて軽く説明しますと、このゲームは「ホラーRPG」です。
……え、それだけかって?
いえ待ってください違うんです、要するにこのゲーム、なにを言ってもネタバレになってしまう類の作品なんですよ。
なにも知らずにこの記事を開いたあなたは幸運です。なぜなら、一切の先入観と無縁のまま新鮮なゲーム体験としてOMORIをプレイできるのですから。
UNDERTALEとかそういう感じのやつです。お察しくだされ。
よってこのゲームを知らない人に私がお話しできるのは、是非ともご自身で購入して遊んでみてほしいということだけなのです。
あえてお伝えしておくべきこととしては、前述のとおりホラーRPGであるため、そういうホラー要素が苦手な方は気を付けてほしいという点でしょうか。
もう少し細かく言うと、ホラーパートは全体的に不気味系で攻めてくる傾向があり、またそこまで強くないながらも残虐系やジャンプスケア(びっくり恐怖演出)が盛り込まれているため、ご自身がどのホラー要素にどのくらい耐性があるかと相談していただくのがよいかと思います。
そんな事情もあって不特定多数にオススメはしにくいゲームですが、気になったら公式トレーラーをご覧になるなどして、雰囲気だけでも確かめてみてください。「あ、この雰囲気好きなやつだ」と感じられたなら、きっと例外なく楽しめると思いますよ。
さて、前置きが長くなりました。
ここから先はネタバレ上等、お情け無用の感想考察垂れ流し記事となります。
重ねて申し上げますが、OMORIの内容をご存知ない方はこの先の内容を読むことなく、是非ともご自身でのプレイ体験を大切なファーストインプレッションとしてください。
私がなぜこんなに回りくどく注意書きをしているか、それをご理解いただいている方のみ続きをお読みください。
はいどうも。
ここまでお読みくださったあなたは、きっとネタバレを恐れずに済むくらいには、OMORIというゲームの内容を理解されていることと信じます。
それではここからは本当に、私の感想を並べていく記事に戻りますね。
最初に申し上げておきたい。
このゲーム、あまりに良すぎて膝から崩れ落ちました。
誰ですか私の膝にオモリつないだの。オモリってそういうことですか。
今の私の膝、たぶん死の間際のマリちゃんよりひどいことになってると思います。
アホな話は置いといて。
上のほうではネタバレに配慮して書けませんでしたが、単に感想というとあまりに広範にわたってしまうので、「グッドエンド後に主人公が辿るであろう未来」に焦点を絞り、そこを中心にお話していこうかと思います。
というのも私、図らずしも初見プレイにしてシークレットエンディングへ到達してしまいました。グッドエンドの演出に加えて、最後にバジルが目を醒ますパターンのやつです。
プレイ中、一切なんの攻略情報も仕入れなかったにもかかわらずです。我ながら驚きました。
さて、グッドエンドを迎えたプレイヤーの方々には、あるひとつの共通した疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。すなわち、サニー(主人公)は友人たちに許されたのだろうか、と。
ゲーム内ではあえてどのような可能性も考えられるように演出されており、実際これといった正解は存在しないのだという気がします。なにより私がここでつらつら述べたところで、感想とは人それぞれ心のまま感じたことが正しいわけですから。あくまでひとりの人間の感じたこととして、お読みいただければと思います。
また初見プレイ完了時点での都合上、他のルートにまつわる考察内容は充分でない可能性が高いです。あわせてご了承ください。
とまあ予防線を張ったところで、結論からいうと私の感想はズバリ以下。
「社会からは罰せられ、友人たちには愛されてほしい」これです。
感想ってよりなんかもう願望混じりですが、一応ひとつひとつ説明しますね。
まず前提の話から整理していくと、このOMORIというゲームはサニーが自らの罪の意識と向き合っていく物語です。
「MOTHER」や「ゆめにっき」などを彷彿とさせるあの妙ちきりんな世界を、驚くほど普通で王道なRPGとして冒険していきます。しかし世の多くのRPGと決定的に異なる性質として、オモリ(主人公の写し身)はなにか大きな目的を成し遂げるためではなく、罪と向き合う本来の目的から遠ざかるために旅をするわけです。
現実のサニーに罪の意識を向けさせることなく、夢の世界の奥底へ封じ込めた上で、その上に築かれたヘッドスペースを冒険の舞台とし、かりそめの幸福を享受する。これが、サニーにとってのオモリという人格(語弊がありそうでややこしいですが、簡単のためあえてこう表現します)の役割でした。
冒険の末にオモリはブラックスペースへの扉を開き、自らが抑え込んだはずのおぞましい罪の意識の封印を解いてしまいます。その結果、オモリはサニーが抱える罪の意識そのものの象徴となり、ついに彼自身へ向けて牙をむいてきます。
サニーは現実での幸福な記憶、美しい感情、そして自らつかみ取った真実を武器にこれと対峙します。自身のすべてを受け入れ、乗り越えることで、サニーはようやく現実で生きていく力を取り戻します。長らく彼をさいなんでいた苦しみの象徴、黒く得体の知れない「なにか」は、彼の前から姿を消しました。
……というのが、グッドエンドまでのあらましです。感想といいつつ若干考察めいてしまいましたが、細部の違いはあれどおおかた外してない(と思う)ので、お目こぼしください。
これを踏まえて、先ほど述べた私の感想についてお話しします。
まずは前半の「社会からは罰せられ」という点について。
これに関してはシンプルです。客観的にみて、サニーがマリを死なせてしまったことは事実。社会的にどうなっているかまでは詳細に知ることができませんが、友人たちが偽装に気付かなかったところからみて、やはり自殺として処理されたのでしょう。
頻繁に言われる「検死でバレなかったのか?」という指摘に関しても、事件性がないと判断されたものを検死にかけられる可能性は低い、という考え方が有力視されているみたいです。
しかし、サニーが自白したとなると話は変わってきます。彼および共謀者のバジル自身が罪として認識しているように、我が国でも遺体を別の死因であるかのように偽る行為は、死体遺棄などの罪に問われる場合があるようです。OMORIの世界での法制が現実と同一とは限りませんが、子供の目にも明らかな犯罪でなければああも自分を責めないでしょうから、つまりそういうことだと思います。
そうなるとやはり、サニーとバジルは社会的制裁からは逃れられない、と考えるのが自然でしょう。なんらかの刑罰を受けたうえで、世間的にも元の生活には戻れない可能性は高い。サニーの引っ越し先だって、母親と離れ離れになることさえ考えられます。喫茶店の屋根裏とか……。
ただ、ひとつだけはっきりしていることは、己の命すらおびやかす罪の意識を乗り越えたサニーたちが、いまさら社会的責任から目を逸らしはしないだろうということです。
未来を見据えて生きていく勇気を取り戻した彼らは、社会からいかように責任を問われようと、強くまっすぐに受け止めて生きていくのではないでしょうか。そうであってほしいですね。結局願望めいてしまった。
さて次に、「友人たちには愛されてほしい」について。
グッドエンドに関して最も個人の感想が分かれる部分であり、だからこそ私が最も深く語りたい部分でもあります。
こちらのほうが重要かつ込み入った話になるので、ちょっと複雑になりますがご容赦ください。考察を踏まえた話もガッツリ盛り込んでいきます。
自然に考えれば、罪を自白して犯罪者となったサニーを友人たちが拒絶する可能性は、もちろん存在します。ここでポイントとなるのが、サニーの罪の自白が友人たちにとってはエンディングで初めて明かされる事実である点と、「どのような選択をしようと自分はサニーの味方だ」と激励をくれた友人たちの姿が、現実でなくサニーの心象風景での存在だったという点でしょう。
ようするに、罪の意識をサニーと共に背負い、支えてくれる友人が現実世界に存在する保証がないのです。これこそが、サニーが友人たちに拒絶される可能性を最も強力に補強する判断材料といえるでしょう。
ここまで整理してなお、私が「友人たちには愛されてほしい」のはなぜか。それをお話しするにあたって、まずはオモリの冒険の舞台であるヘッドスペースについて、掘り下げていく必要があります。
いよいよ話が面倒くさくなってきそうですが、大丈夫でしょうか……?
オモリと友人たち、そして様々な生物が暮らしている空想の世界、それがヘッドスペースです。
普通にこのゲームをプレイしていると、眠っているサニーの夢、すなわち潜在意識がこのヘッドスペースを形作っているらしいことは想像がつきます。しかし、
「ヘッドスペースのあらゆるものがサニーの空想で作られている、という認識は正確でない」
というのが私の主張です。
その根拠となるのが、ゲーム中、ハンフリーを倒した後にシンエン井戸で聞くことのできるメッセージです。赤くて細長い川をずっと泳いでいくアレです。
あのエリアで聞くことができる話の中に、ヘッドスペースと現実世界との関連を推察するための情報が数多く潜んでいます。たとえば、あそこで真実を語りかけてくる声(仮に真実の声とでも呼びましょう)のセリフの中には、
「貴方の大事な大事な、ひざが悪いマリ……(中略)彼女は必ず安全地帯から離れ、貴方を守ります。それが彼女の本能です。彼女がそうする度、その魂は貴方から離れ、そしてまた蘇る……(後略)」
というものがあります。なにやら魂だの本能だの、いかにも生き物らしい単語が登場しました。
ちょっと順番が前後しますが、これより前にマリとバジルの魂とその行動原理について、真実の声が言及しているセリフもあります。
「ここには昔、真実への道があったのですが、今はもうありません。(後略)」
「その道が何度隠されようとも、あの花の少年は必ずそれを見つけます。そして貴方の大好きな姉のマリは……必ず、貴方をそこまで導きます。彼らは空っぽな張りぼてです。それでも、成長します。成長して、翼を得て……太陽に翼を焼かれ、地に落ちます。それが、彼らの本能です。(後略)」
真実の声によると、花の少年(バジル)とマリの魂は、ヘッドスペースに生きる存在でありながら、自身の本能に従い真実——すなわちブラックスペースに眠る罪の意識へと至るべく、独自の行動基準によって動いているようです(ヘッドスペース内で存在が分離しているバジルに関しては、事情が特殊なので後述します)。それはサニーの深層意識がブラックスペースを抑え込もうとする意思とは、明らかに対立するものです。ヘッドスペースすべてがサニーの意思に基づいているという前提においては、説明がつきません。
以上の話から、私はサニーの深層意識によって作られていると思い込んでいたヘッドスペースが、実際には現実の人間の魂に干渉を受ける場所であると解釈するに至りました。
サニーと以前から面識があったとは考えにくいキムやヴァンス、ショーンやカレンに対応するキャラクターが最序盤から森の遊び場に(不完全な異形めいた姿ながら)登場している不自然さも、ヘッドスペースがそもそもサニー以外の人間の魂に影響される場所であるという前提に立てば、きわめて明快に説明がつきます。
私がこの回りくどい話で一体なにを伝えたいのかというと、
「ヘッドスペースの住人たちは、現実世界の人間の意思が反映された存在」
であるということ。
これこそが、サニーが友人たちに受け入れられるだろうと私が考える、最大の根拠です。
思い出の道の終着点、オモリとの決戦を控えたサニーを待ち受けていた仲間たちは、みな口々に彼への信頼と友情、温かな愛情に満ちた言葉を投げかけます。
それはサニーの心象風景の中での出来事であり、細かいことを言えばヘッドスペースとは異質の空間だったのかもしれません。しかし果たして、なにもかもが彼にとって都合良く脚色された、無根拠なものだったのでしょうか。
バジルやマリが本能でそうしたように、ケルやヒロ、オーブリーもまたサニーの抱える苦しみを(その真実こそ知らないにせよ)現実世界での交流を経て共に支えたいと願い、最大の試練に臨む友人の前にその魂が現れて、本能で呼びかけたのではないでしょうか。
そうだとすれば、友人たちが口にする「自分はサニーの味方だ」というセリフが、他ならぬ現実の彼ら自身の心に由来する言葉であるはずです。
……うーん、自分で書いといてなんですが、どう取り繕っても少々メルヘンチックな結論になっちゃいますね。
自分の感想にあれこれと屁理屈つけてみましたが、やっぱり少なからず願望混じりの解釈にすぎないのかもしれません。まあそれならそれで堂々と、
「みんなサニーの味方だって言ったもん!!! 支えてくれるって約束したもん!!!」
って叫び散らかすだけになりますけども(笑)。
しかしまあ、こんな理屈でも少しは誰かの共感が得られたら、それはなにより嬉しいことですね。
ここからは余談ですが、現実の魂が反映されたヘッドスペース住人の中でも、バジルは非常に特殊な存在です。
それもそのはず、バジルはマリの自殺偽装に荷担した共謀者であり、いわば罪の意識をサニーと共有している人物であるためです。現実世界でサニーとバジルだけが互いの「なにか」を視ることができているのも、同一の罪を背負っていることを考えれば不自然はないでしょう。
オモリが罪の意識をブラックスペースへと追放すると同時に、ヘッドスペースのバジルもふたつに分離されてしまい、オモリたちと共に幸福を享受する「バジル」と、オモリにとって不都合な真実を探し出そうとする「知らない人」に、それぞれ分かたれました。
今にして思えば、オモリの友達でいたい「バジル」と真実に向き合いたい「知らない人」、どちらも現実のバジルの本心であり、真実の声の表現を借りるなら「魂の本能」だったのかもしれませんね。
トゥルーエンドの描写では、サニーとバジルが互いの背負った罪の意識が消えていく様を目にします。同一の罪が由来しているとはいえ、克服するタイミングまで一緒というのは少々違和感を覚えるところで、この符合もまたヘッドスペースと現実世界との連動を摘示する証拠と考えていました。つまり、「知らない人」としてオモリを真実へと導き、その魂の本懐を遂げたことで、バジル自身にもまた罪の意識と向き合う機会が訪れたのかもしれないと。
そんなところまで考察していてはさすがにキリがなかったので、今回はあまり深く触れませんでしたが……。
(以下、本当にどうでもいい話)
バトル中にオモリが発動できる「やる気解放」、プレイ中ずっとアレに似てるよなあ……とか思ってました。
屋根裏のゴミでも仲間に恵まれて強く生きているのでサニーくんも頑張れ。
【ノアの休日#3】アークナイツWebオンリーイベントに行ってきたよというお話
春の陽気と冬の寒気が交互に顔を出す季節になりましたね。
そんな私は年がら年中アモルファスです。
去る3月25日、アークナイツWebオンリーイベント【ノアの休日#3】に参加してきました。
Webオンリーとはなんぞや、という方のためにかいつまんで説明しますと、pictSQUAREというウェブサービスを利用して、オンライン上で同人誌即売会っぽいことができるというもの。
このウェブサービスが大変よくできていまして、なんと画面上のキャラを自分で操作して、ゲームの世界でお店に入るみたいにサークルを回れちゃうんです!
で、そんなpictSQUAREを使ってアークナイツの非公式オンリーイベントをやっちゃおう、という企画がノアの休日というわけなのです。
画面上を駆け回って気になるサークルのスペースに入り、中のテーブルを調べて外部リンクを開くと、サークル主さんの通販サイトへ飛んで素敵な展示品と出会える……というワケ。
さらに自分のキャラだけでなく、その時イベントに参加している他の人のキャラもリアルタイムでちょこちょこ動き回るので、みんなでワイワイ参加している臨場感もちゃんと味わえます。
背景の椅子に集団で座っている人たちもいました(笑)。
とまあ、ここまでWebオンリーというものの説明を行ってきたわけなんですが。
このたび私アモルファスは、本イベントにサークル【銀嶺の麓亭】として出展側で参加してまいりました、というお話なんです。
元々このノアの休日は過去に二回開催されていまして、今回は三回目となります(タイトルの#3というのはそういう意味ですね)。
その二回目の開催に私がよくお世話になっているTwitterフォロワーさんが出展されるとのことで、ならばと私も一般参加者としておもむいたわけなのですが、これがまあ面白いのなんの。
ただでさえイベントに縁遠い地方民、それも昨今は例のコロナ禍ときて、創作イベントにかかわる機会は当分なさそうだなあと当時の私は考えていたのですが。こんな身近にその機会が転がっていたとは、まさに青天の霹靂でした。それも私が絶賛大ハマり中のアークナイツ。
「次は自分がここに作品を置いてみたい」と思うようになるのも、時間の問題でした。
そうして巡ってきたノアの休日第三回。不慣れながらもサークル参加手続きを進め、期日ぎりぎりになりながらも作品を仕上げ、展示したものがこちらです。
#アークナイツ #arknights 手折れゆく者たちへの挽歌 - アモルファス@銀嶺の麓亭の小説 - pixiv
そうです、小説ですね。元々文章を書くのが好きでしたし、それ以外にこれといった創作スキルを持ち合わせていないので、出るならこれしかないなと。
ちなみにこの作品はイベント期日に合わせてpixivへ投稿したもので、イベントが終わった今でもpixivへ行けば普通に読めます。ノアの休日は無料配布や展示のみといった出展方式でもOKなので、今回その形を取ったわけですね。
それで気になる作品の閲覧数ですが……
イベント終了から一夜明けて、pixivでの閲覧数74、いいね4、ブックマーク5。
……うん、上出来ですね。非の打ちようもない大収穫といえるでしょう。
これは今回のイベントへの参加動機にもかかわってくるお話なのですが、私アモルファス、ここ数年まともな創作活動をしておりませんでした。
以前はよく小説を書いたりゲームを作ってみたり、TRPGのシナリオを書いたりなんかもして、文章にかかわることなら手広くやってきたのですが、いろいろあって最近はめっきり生産的なことができておらず。これではいかんと思い立ったように筆を執ってみても、形になりきらなくて中途半端になっちゃったりと、まあ創作家を標榜するのもはばかられる体たらくだったわけです。
そんなわけで、ノアの休日に参加するにあたっての私の目標は、とにかく作品を仕上げることでした。不出来でもいい、評価されなくてもいいから、ひとまず他人に見せられるものを完成させて、イベントに出展するサークル主として恥ずかしくない体裁だけは保とうと。
なにも作れない自分をさっさと脱却して、素敵な創作家の人々が集う舞台へ帰りたいと、その一心で老体に鞭打って筆を動かしていたわけです。
従って、期日目前に作品を書き上げてpixivへ投稿を済ませた時点で、本イベントにおける私の目的はほぼ達成したようなものでした。リアルの即売会と違って、Webオンリーイベント中はサークル主が特に何かする必要はないので、直前のケツに火がついた日々とは打って変わって気楽なものでした(笑)。
言ってしまえば、私は作品を作れる自分に戻れたことで満足して、作品そのものの評価は気にしないことにしよう、という気分だったわけです。もちろん多くの人に喜んでもらえたら嬉しいですけど、今回の目標はいわば己との闘いを制することだったので。
そんな中で作ったものが、実に74人もの読者の目に留まり、4人が「いいね」と言ってくれて、5人が後で読もうと思ってくれたわけですから、これは凄いことです。
自分が作るものの価値っていうものは、案外自分ではわからないものだよな、という思いを新たにしましたね。
なんだか湿っぽい話になってしまってすみません(笑)。
とにかくこうした新鮮な機会に、文章をやる人間としての勘を取り戻せてよかったです。
ノアの休日を企画運営してくれた方、私を誘ってくれたフォロワーさん、作品を手に取ってくれた皆さんに改めて感謝したいですね。
この調子で今後もまた、いろんなジャンルで気の向くままに活動できたらいいなあ。
それではまたどこかでお会いしましょう。
【アークナイツ】あまくだり氏モンスター名対応表
古代エジプトのファラオ系Youtuber、あまくだり様のアークナイツ動画におけるキャラクターとカード名の対応表を個人的にまとめてみました。
カード名が曖昧だったり未対応のものは空欄、カード名が複数存在するものは並列表記してあります。
いつか全部のオペレーターが埋まるといいなあ……(小声)。
動画にはひと通り目を通したうえで作成しておりますが、生配信の内容(特にYouTube以外での放送)は把握漏れがあるかもしれません。
抜けや誤り等の情報提供、どしどしお寄せください。
なお、本ブログへの掲載にあたって、あまくだり様にはあらかじめ許可を頂いております。
古代エジプト三千年の面白さを誇るあまくだり様の動画は、こちらから。
【星6】
シージ:ダンディライオン
バグパイプ:ドラゴンを呼ぶ笛
マウンテン:山
スカジ:暗黒大要塞鯱
スルト:クリムゾン・ブレーダー
シルバーアッシュ:シルバー・フォング
ソーンズ:ニードル・ボール
ブレイズ:ブレイズ・キャノン、ブレイズ・キャノン-トライデント
チェン:真紅眼の黒竜
ヘラグ:じーちゃん
ホシグマ:グレムリン
ニェン:名工虎鉄
サリア:ビッグ・シールド・ガードナー
ブレミシャイン:シャインナイト
マドロック:岩窟魔人オーガ・ロック
ユーネクテス:捕食植物ヴェルテ・アナコンダ
W:万能地雷グレイモヤ
シュヴァルツ:限界竜シュヴァルツシルト
ロスモンティス:闇の護封剣
ロサ:EMキングベアー
エイヤフィヤトラ:ブラック・マジシャン・ガール
ケオベ:魔導獣ケルベロス
モスティマ:心変わり
イフリータ:カース・オブ・ドラゴン
シャイニング:光の護封剣、青眼の光龍
ナイチンゲール:天使のサイコロ
アンジェリーナ:グラビティ・コントローラー
スズラン:九尾の狐
マゼラン:メカ・ハンター
ファントム:D-HEROダブルガイ
ウィーディ:たつのこ、瑚之龍
ア:アイツ
【星5】
テキサス:漆黒の戦士ワーウルフ
キアーベ:きつね火
ズィマー:地獄の番熊、昼夜の大火事
グラニ:暗黒騎士ガイア
リード:ドラグニティナイト-ゲイボルグ
インドラ:
フリント:フリント
フランカ:炎の剣士、蒼炎の剣士
エンカク:炎の剣士
アステシア:セイクリッド・プレアデス
シデロカ:
アーミヤ(前衛):
スペクター:デッド・シャーク、拷問車輪
ブローカ:大狼雷鳴
サベージ:ヴァレルロード・S・ドラゴン
スワイヤー:タイガー・アックス
ウィスラッシュ:創星神sophia
ラップランド:死霊騎士デスカリバー・ナイト
エアースカーペ:転生炎獣アルミラージ
バイビーク:針剣士
クロワッサン:インフェルノ・ハンマー
バイソン:牛魔人
アスベストス:メタル化・魔法反射装甲
ニアール:守護神官マハード
ウン:コイツ
ヴァルカン:ジュラゲド
アズリウス:デスガエル
プラチナ:宝玉獣サファイア・ペガサス
グレースロート:ブラッドストーム
エイプリル:因幡之白兎
メテオリーテ:メテオ・ブラック・ドラゴン
シェーシャ:
プロヴァンス:フラワー・ウルフ
ファイヤーウォッチ:ボーガニアン
アンドレアナ:デビル・クラーケン
イグゼキュター:処刑人-マキュラ
アオスタ:ギガテック・ウルフ
アーミヤ:ブラック・マジシャン
ナイトメア:悪夢の蜃気楼
トミミ:クロコダイラス
スカイフレア:ビッグバンガール
レイズ:エレキリン
ミント:
サイレンス:サイレント・マジシャンLV4、サイレント・マジシャンLV8
ワルファリン:血の代償、ヴァンパイア・ロード
フォリニック:ご隠居の猛毒薬
フィリオプシス:幸運を告げるフクロウ
ブリーズ:
セイロン:究極時戒神セフィロン
ウィスパーレイン:海月-ジェリーフィッシュ-
イースチナ:王立魔法図書館
グラウコス:ウミノタウルス
メイヤー:サイバー・ドラゴン
シーン:
プラマニクス:ワタポン
ツキノギ:ウェザー・レポート
シャマレ:ダーク・ネクロフィア
ソラ:地獄詩人ヘルポエマー
レッド:赤い忍者
ワイフー:アマゾネスペット虎、王虎ワンフー
カフカ:霊魂鳥-忍鴉
エフイーター:逆ギレパンダ
クリフハート:鎖付きブーメラン
スノーズント:エレキジ
ロビン:トラップ・マスター
【星4】
スカベンジャー:巨大ネズミ
クーリエ:森の聖獣ヴァレリフォーン
ヴィグナ:音楽家の帝王
テンニンカ:フリッグのリンゴ、勇気の旗印
ビーハンター:格闘戦士アルティメーター
ジャッキー:番犬-ウォッチドッグ
マトイマル:重装武者-ベン・ケイ
ムース:レスキューキャット
エステル:
ドーベルマン:地獄の魔物使い
フロストリーフ:氷帝メビウス
アレーン:死の沈黙の天使ドマ
カッター:千本ナイフ
ウタゲ:蛮族の狂宴LV5
クオーラ:バーバリアン2号
バブル:E・HEROバブルマン
マッターホルン:ミノタウルス
ジュナー:
グム:神秘の中華なべ
メテオ:メテオ・ドラゴン
ヴァーミル:アマゾネスの射手
メイ:未熟な密偵
シラユキ:白い忍者
アシッドドロップ:酸の嵐
アンブリエル:デュナメス! 目標を狙い撃つ!
パインコーン:マツボックル
ヘイズ:マジキャット
カシャ:D・ビデオン
ギターノ:当然! 正位置ィ!
グレイ:雷魔神-サンガ
ガヴィル:グラナドラ
ミルラ:ゴブリンの秘薬
ススーロ:素早いモモンガ
パフューマー:ハーピィ・パフューマー
セイリュウ:
アーススピリット:地縛霊
ポデンコ:ウィード
ディピカ:スライム増殖炉
グラベル:骨ネズミ
ショウ:水魔神-スーガ
ロープ:命の綱
イーサン:カメンレオン
ジェイ:悪魔の調理師
【星3】
バニラ:バニーラ
フェン:ルイーズ
プリュム:BF-黒槍のブラスト
メランサ:伝説の剣豪MASAKI
ポプカル:バーバリアン1号
ミッドナイト:ミッドナイト・デビル
ビーグル:
カーディ:カードカー・D
スポット:疫病狼、疫病
クルース:デス・ウサギ
アドナキエル:
カタパルト:カタパルト・タートル
スチュワード:アーカナイト・マジシャン
ラヴァ:溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
ハイビスカス:E・HEROスチーム・ヒーラー
アンセル:幽鬼うさぎ
オーキッド:捕食植物スパイダー・オーキッド
【星2】
ヤトウ:
ノイルホーン:
レンジャー:ワイバーンの戦士
ドゥリン:ヒューマノイド・スライム
12F:
【星1】
Castle-3:キャッスル・ゲート
Lancet-2:ラーの翼神竜-球体形
THRM-EX:
【その他・敵など】
ケルシー:魔導サイエンティスト
テレジア:インフェルノクインデーモン
フロストノヴァ:フロストザウルス
ウェイ:千年竜
シモーネ:スノーマンイーター
エンペラー:ペンギン・ナイトメア
執事:牛頭鬼
カポネ:黒蠍-罠はずしのクリフ
鼠王:チュウボーン
ポンペイ:バーニングブラッド
腐敗騎士:魔導アーマーエグゼ
凋零騎士:魔導アーマーエグゼ
アダクリス人: The tyrant NEPTUNE
囚人A:凶悪犯-チョップマン
囚人B:ダーク・プリズナー
ブッチャー:アックス・レイダー
重装隊長:メタル・ガーディアン
ハガネガニ:KA-2デス・シザース
バクダンムシ:地雷蜘蛛
狂化寄生兵:メタル化寄生生物-ルナタイト
障害物:岩石の巨兵
ミス・クリスティーン:不幸を告げる黒猫
ファイアーエムブレム風花雪月 プレイレポートあとがき
【ご案内】
本記事には、「ファイアーエムブレム風花雪月」のネタバレが含まれておりません。
安心してお読みください。
◎はじめに
とても楽しかった!
そして、とても疲れた!
けれど、とても面白かった!
言いたいことはこれに尽きます。
とにかく内容が濃密で、飽きさせない作りになっているので、非常に楽しめましたね。
文字通りこの二週間弱、暇さえあれば風花雪月を遊んでいたと言っても過言ではないというほど、いくらでも遊べちゃう。
そして、だからこそいくらでも体力が削られていって、だけど疲れて眠っている時間が惜しいほど面白くて。
とにかく、それだけ魅力的なゲームだったということは、声を大にしてお伝えしたいです。
◎ストーリーについて
超濃厚。
それはもう、胃もたれを起こしそうになるほど。
次はどうなるんだ、どんな奴が敵なんだ……と暗中模索で進んでいく感覚は、ベレト(主人公)の体験を共有しているかのような錯覚に陥らせました。
巷での評価がすこぶる高いのもむべなるかな、です。
あまりにも濃厚すぎて、耐性が薄い人はちょっぴりだけしんどいかも……と思うほどです。
12才以上対象なのも納得。
これまでのファイアーエムブレムシリーズの良い所を詰め込んで、さらに磨きをかけた感じと言ったらいいのでしょうか。
三つあるストーリーのうち、ひとつをクリアしただけに過ぎない感想ではありますが、それでもこれくらい絶賛せずにはいられないほど素晴らしいものでした。
一体どんな頭の構造をしていれば、こんなに凄いストーリーが書けるのでしょうか。
是非とも教えてほしいものです。
◎ゲームバランスについて
これもまた、ハードクラシックを一回遊んだだけの感想になりますが、非常に良好なバランスだったと感じました。
各ユニットの特徴をしっかり理解し、適切に運用しなくてはクリアできないようになっており、後述する育成システムとの相性が非常によく考えられているなあ、と思いましたね。
しいて言うなら、再移動を行える騎馬職と、終盤まで火力が安定する魔法職が比較的強いのかな……と感じました。
騎馬職は本作では攻撃後も再移動できるので、ひとり目の騎馬職が敵に隣接して攻撃、再移動でどいてふたり目が隣接してまた攻撃……といった動きができて、非常に強力です。
魔法職は魔法の命中率が非常に安定しており、終盤の異常に素早い敵にも比較的当たりやすいので、チーム全体の火力源として重宝しましたね。
かといって、じゃあ両方の特徴を併せ持つダークナイトやホーリーナイトが最強なのかというとそんなことはなく、やはり前述の通り各ユニットの特徴をきちんと理解し、チームをバランス良く育てていかないとクリアは難しいです。
その辺りがしっかり考えられていて、とても好印象でした。
◎育成システムについて
教師として生徒たちに教鞭を振るい、技能を伸ばして育てていくというシステムは斬新かつ新鮮でしたね。
各生徒の得意なことや苦手なことをしっかりと理解し、それぞれの長所を生かす、あるいは弱点を補う育成をしなければならないのは、これまでのファイアーエムブレムではあまり見かけない要素であり、楽しく頭を悩ませてくれる要因でもあります。
前述の通りいろんなタイプのユニットを用意して戦いに臨まなくてはならないので、強いからといってみんなにひとつの職を目指させるわけにもいかないのです。
各人の特徴を上手く掴み、長期的なプランを立てて生徒たちの能力を伸ばしていかなければならないこの感覚は、まるで本当に教師になって生徒を育てているかのような臨場感がありましたね。
これまでのファイアーエムブレムの良さを詰め込んだ上で、新たな試みを取り入れたこのシステムは、世界観とも非常に良くマッチしていて良かったですね。
あと、このシステムのおかげで生徒たちに対してとても愛着が湧きます。
◎残された謎について
前述の通りストーリーはとても素晴らしいものでしたが、一方で、まだ語り尽くされていない謎が残されているな、とも感じました。
具体的な内容を述べてしまうとネタバレになっちゃうのでここでは書けませんが、張ってあるはずの伏線が回収されきっていなかったり、あの件はどうなったの? みたいなことがしばしば起こったり。
ただこれも、三つあるストーリーのうちのひとつだけをクリアした感想に過ぎないので、他のストーリーや、今後配信される追加シナリオをプレイすれば判明するのかもしれません。
しかし、ひとつのストーリーをクリアしただけでこの濃密さですから、すぐにもうひとつ、ふたつと着手するのは正直なところ体力が持ちません。
とある理由で、自分の生徒に愛着が湧けば湧くほど他のストーリーを選ぶのに躊躇してしまうという、なかなか嫌らしい作りになっているのも一因です。
適度に時間をおいて休憩しつつ、気が向いたら他のストーリーにも手を出していく……くらいのスタンスでいきたいと思います。
ストーリーだけを確かめるために、難易度ノーマルで軽くサクッとクリアを目指すくらいはやるかもしれませんけどね。
◎おわりに
これまでだらだらと述べてきましたが、総合して、非常に素晴らしいゲームであることは間違いありません。
ファイアーエムブレムをよくご存知ない方にも、歴戦のエムブレマーの方にも、自信を持ってお勧めできる作品であると胸を張って言えます。
この記事をきっかけに、ファイアーエムブレム風花雪月という作品、ひいてはファイアーエムブレムシリーズ全体の魅力に触れてくださる方がひとりでも多く生まれてくれたなら、これに勝る喜びはありません。
奥深い風花雪月の世界に、是非とも足を踏み入れてみてくださいね。
それでは、ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました!
アネットはベレトの嫁。
ファイアーエムブレム風花雪月 プレイレポート最終回
【ご案内】
本記事には、「ファイアーエムブレム風花雪月」のネタバレが含まれております。
未プレイの方は閲覧をお控え頂くか、閲覧した後に記憶を消して頂くようお願い致します。
帝都市街を制圧し、遂に皇帝エーデルガルトの元へとたどり着いた前回。
そこで待っていたのは、我々のよく知るエーデルガルトは見る影もない、変わり果てた姿の異形の生命体でした。
戦闘準備です。
敵将、覇骸エーデルガルトは攻撃範囲がなんとマップ全域に及び、猛撃・骸花で防御無視の動揺攻撃を行ってくるという超難敵。
さらに、障壁を剥がしてもアーマーブレイクせず毎ターン復活し、スキル「双紋章」によって二回行動を行ってくる上、「魔物特効無効」まで持っているという反則の塊みたいな敵です。
通常攻撃の威力はさほどではないことと、猛撃の射程はマップ全域じゃないのが、せめてもの救いでしょうか。
東に陣取る謎の敵。
彼らは一体……?
電光石火の進軍を行います。
長引けば長引くほど、不利になっていきます。
アッシュやシルヴァンで初期配置西の敵を排除していき、狭い入口から小部屋へ一気になだれ込みます。
西の小部屋を制圧したら、次は北の小部屋、中央の大広間、東の小部屋の順で攻略していきます。
逆S字を描くような進軍ルートを取ります。
まずは北の小部屋。
全体的に魔法職が多いので、フレンで釣り出して撃破していきます。
魔獣は剣弱点なので、イングリットで障壁を剥がして魔法ラッシュで。
魔道砲台を潰しました。
同時に、イングリットがメティオの範囲内に入りました。
このままメティオを枯らすまで、この部屋で凌ぎます。
おっと、これは急がねば。
中央大広間の制圧に着手します。
エーデルガルトは何故か、ダメージや命中率が低い相手ばかりを狙ってくれます。
ただ、二発目の攻撃がメルセデスに来るのは怖い。
急ぐ必要が出てきたので、イングリットで素早くメティオ持ちを倒します。
再移動でスナイパーの攻撃範囲からギリギリ逃れられます。
イングリットが玉座の間に進入したことで、エーデルガルトが何か言い始めました。
今まで使っていた超遠距離通常攻撃をやめてしまいます。
ミュソンなる謎の人物をここで倒しておきます。
こいつの持つボーアXは射程が10ある上に、命中した相手のHPを1にしてしまう、大変危険な魔法です。
早いところ排除してしまわないと満足に動けないので、アッシュのロングボウで狙撃。
これで安心して動けます。
ミュソンを撃破したことで、謎の兵たちが撤退していきます。
彼らは一体……いや、おおかた見当はついていますが。
ともかく、これで残るは物理攻撃だけになったので、ドゥドゥー戦法に切り替えます。
その間に、階段を制圧して増援を塞いでおきました。
イングリットのショートスピアが壊れてしまったので、一旦ベレトの元に戻って輸送隊から新品を受け取っておきます。
弓砲台の排除完了。
さあ、いよいよ残すは敵将のみです。
異形に身を堕としてまで、己が覇道を突き進まんとするエーデルガルト。
彼女の思いに応えるべく、ディミトリは槍を構え直します。
まずは計略で障壁を剥がし、ディミトリの強烈な攻撃を叩き込みます。
猛撃が来そうになったら、敵の射程外に逃げれば飛んできません。
行け、ディミトリ。
行け、イングリット。
これで……終わりです。
エーデルガルトの敗北。
ディミトリの、ベレトの、みんなの勝利です。
異形が、朽ち果てていきます。
残されたのは、うなだれるエーデルガルトの姿。
彼女は眠りから目覚めたかのように、穏やかに目を開きます。
その目の前には、ディミトリの手が優しく差し伸べられていました。
エーデルガルトは小さく微笑み……
投げ放たれたのは、あの短剣。
しかしそれが、ディミトリの命に至ることはありませんでした。
それと同時に、ディミトリのアラドヴァルがエーデルガルトを貫いていたからです。
血にまみれた短剣を、エーデルガルトの元へ残して去っていくディミトリ。
振り返ろうとするディミトリを、ベレトが制止します。
そしてふたりは、光と歓声の中に戻っていきました。
帝都アンヴァルが陥落したことで、アドラステア帝国は滅亡。
五年半に及ぶ戦乱の世は幕を閉じ、フォドラは新たな泰平の時代を迎えようとしています。
王道をもってそれを成し遂げんとするのは、ファーガス神聖王国の国王ディミトリ。
それを側で支えるのは、教会の新たな大司教だったといいます。
そして、月日は流れ……
女神の塔。懐かしいですね。
五年前にもこうして、彼女と共に訪れたものです。
戦いが終わって、いろいろあって。
毎日それなりに楽しかったけれど、なんだかずっと落ち着かないんだとか。
ベレトはその言葉の意味を測りかね、問いかけます。
ベレトと共に過ごしていると、自分が自分でいられると語るアネット。
うんうん。
なになに。
おいおい。
心配することはないって。
何故なら……
彼女の言いたいことはわかります。
何故って、ベレトも同じ気持ちだから。
つまり、そういうことです。
その言葉を告げると、途端に泣き出してしまうアネット。
ベレト、これにはびっくり。
彼女も不安だったようです。
嫌いだと言われたらどうしようか、と。
安心したら、涙が出てきちゃったみたいですね。
うん、私も大好きだよ。
これからもずっと一緒にいましょう。
約束です。
めでたし、めでたし。
完走した感想はあとがきとして別記事に書きたいと思いますので、そちらをご覧ください。
それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。
ファイアーエムブレム風花雪月 プレイレポートその21
【ご案内】
本記事には、「ファイアーエムブレム風花雪月」のネタバレが含まれております。
未プレイの方は閲覧をお控え頂くか、閲覧した後に記憶を消して頂くようお願い致します。
難攻不落のメリセウス要塞を見事に攻略し、遂に帝都への道が開けた前回。
物語もいよいよ佳境に差し掛かろうとしていますが、ベレトのやるべきことは変わりません。
まずは軽く散策、散策。
どんな正義があろうとも、戦争という名の殺し合いは敵からも味方からも多くのものを奪います。
こんな愚かな行為は、これで最後にしたいものです。
アネットもメルセデスも、みんなこれまでよく頑張ってきました。
あと一歩です。
あと一息で、きっとすべてが終わります。
そして、実りある豊かな時代がきっと始まります。
私も、青獅子の学級の担任になれて本当に幸せだったよ。
まあまあ、みなまで言うな。
そんな甘い男だからこそ、ここまでついて来たんだろ?
歴史とはそういうものですよね。
正義が勝つのではない、勝った者が正義なのだ……歴史は常に勝者が作るものです。
おっ、それは初耳。
フレンの故郷が戦場になるとは、彼女にとってはとりわけ悲しいことでしょうね。
この悲しみがいつまでも続かないよう、頑張りましょう。
合唱祭の日だったので、信仰を上げたい組で参加しておきました。
シルヴァン、逃げ出そうなんて考えずにしっかり祈りながら歌いなさい。
お前は回復魔法を使いつつ再移動できる数少ないユニットなんだから。
魚なら大抵なんでもいけちゃうフレン。
好き嫌いがない子は大きく育つぞ。
料理はドゥドゥーに教えてもらうに限ります。
アンナさんの秘密店に売られている、能力強化アイテムを大人買い。
一度言ってみたかったんですよね。
ここからここまで全部ください!
毎度お楽しみ、個別訓練のお時間がやって参りました。
ドゥドゥーの指揮を今節中にBまで上げます。どうしても使いたい騎士団がありますのでね。
メルセデスは指揮もAになって、いよいよ育てるものがなくなってきたので、理学も極めてもらいます。
自習技能はこんな感じ。
メルセデスを理学と信仰に、アネットを剣術と信仰に、フレンを槍術と信仰にそれぞれ設定。
今節は信仰強化月間とします。
シルヴァンにとって元気が出るものといったら、そう、アレですよね。
純粋な戦力増強を図るため、この日は出撃を行います。
まずは山岳の魔物討伐にいざ、出撃!
場所はいつもの山。
もはや見慣れた風景ですね。
戦闘の様子は、ばっさりカット。
セテスとイングリットで立て続けにアーマーブレイクして、あとは流れで。
ギルベルトさんが1ピン成長したりしました。
ウーツ鋼八つうまうま。
続いては平野の魔物討伐、いざ出撃!
やって来たるは因縁の地、グロンダーズ平原。
ここの魔物はHPゲージが三本ある上、障壁が頑丈なタイプなのでアーマーブレイクを狙っている余裕はありません。
下手な欲を出さず、素直に討伐します。
いつものように、ばっさりカット。
弱点武器でひたすら殴るだけの簡単なお仕事でした。
最後は西方教会の残党討伐に、いざ出撃!
場所はここ。
カトリーヌとよく一緒に来た所ですね。
例によって、ばっさりカット。
指揮レベルを育てるために、ドゥドゥーの計略を多く吐きました。
個別訓練のお時間。
戦闘を挟んだのであんまりやる気がストックできていませんが、まあ得意分野を適当に育てておくのがいいでしょう。
自習技能は変更なしで。
そういえばそんな日もありましたね。
ディミトリから手紙が届きました。
この日は再び散策へ。
みんなのやる気を回復させますよ。
ディミトリを食事に誘ったの久しぶりかもしれない。
こいつ大抵ストーリー戦闘でMVP取って、自力でやる気回復させるからなあ。
痩せても枯れても個別訓練の時間ですよ。
今節は信仰強化月間ということで、みんなの信仰を高めていくよ。
ドゥドゥーに配備したかった騎士団というのは、このダスカー重装兵団です。
五年前の外伝戦闘で獲得した騎士団で、是非とも彼に使わせてあげたかったんですよね。
要求指揮レベルがBと、ドゥドゥーには少し敷居が高かったんですが、今節でなんとか達成できました。
誇り高きダスカー人の力を、是非とも発揮してもらいましょう。
節の最後の自由行動は講習です。
講師はメルセデス。
信仰とついでに理学を強化していきますよ。
そして……
エーデルガルトとの約束の日。
彼女は果たして来るでしょうか?
どうやら、約束通り応じてくれたようです。
なぜ戦争などという手段を取って、犠牲を生むような真似をしたのだとディミトリが問い詰めると、それが最も犠牲が少ないからだとエーデルガルトは答えました。
今の歪んだ世に、産み落とされる犠牲者。
戦争によって、命を落とす犠牲者。
それらを天秤にかけて、エーデルガルトは前者を救うことを選んだのだといいます。
ディミトリは、彼女のそんなやり方を非難します。結局、そんなやり方では強者が弱者を支配する構造は変わらないと。
エーデルガルトは、そんな構造すらも破壊し尽くすつもりなのだと言います。
しかし、それは強い者のための、強い者のやり方。
人間は、エーデルガルトが考えているほど強い生き物ではありません。生きる目的を失い、信仰にすがりつかなければ歩き出せない人間たちもいます。
彼女のやり方では、彼らは決して救えない。ディミトリはそう言います。
エーデルガルトの反論はこうです。信仰にすがろうと、女神は応えてはくれない。生きる目的を失ったまま、さらに多くの者を失う。自分もそうして死んだ者のひとりだと。
だから、自分は弱き者に代わって世界を正す必要がある、と。
彼女は、女神の代わりにでもなるつもりなのでしょうか。
世界の在り方を変えるのは、たったひとりの君主などではなく、この大地に生きるひとりひとりの人間だ、とディミトリは主張します。
エーデルガルトは、たとえ独善となじられようと、この血塗られた歴史を終わらせるために誰かが起たねばならないと言います。
彼女はおそらく、何も信じていないのでしょう。民衆の、手を取り合って立ち上がる力というものを。
人間は弱い生き物です。しかし、互いに手を取り合って正しい道を選ぶことができる生き物でもあります。そういう生き方を、ベレトをはじめ、皆に教えられたとディミトリは言います。
エーデルガルトは、ディミトリを持つ者だと言いました。持たざる者の気持ちがわからない人間だと。
やはり、彼女の根底には徹底した人間への不信感があるようです。ベレトがディミトリに教えてあげたようなことを、エーデルガルトに教えてくれる人は誰もいなかったのでしょうか。
お互い、相手の正しさというものを少しだけ理解できたと言うふたり。同時に、だからこそ理解し合えぬということも。
それだけ言って、話を終えようとするエーデルガルト。そんな彼女をディミトリは呼び止めます。
返さねばならぬものがあると。
おそらく、アレのことでしょうね。
未来を切り拓く象徴。
かつて、ディミトリがエーデルガルトに贈り、五年前に投げ返されたあの短剣。
エーデルガルトはすっかり忘れていたようです。
彼が、彼こそが未来を切り拓く力をくれた少年だったということを。
目を泳がせながら、あの時言えなかったお礼を気まずそうに述べるエーデルガルト。
そして、今は皇帝として、ファーガスの王を帝都で待つ……とだけ述べて去っていきました。
それから、また数日経って。
決戦を前に、墓地を訪れたベレト。
亡き父、ジェラルトの言葉を思い出します。
いつか、お前に大切な人ができたら、この指輪を贈ってやるといい、と。
私が選ぶ大切な人、それはもちろん……。
なんでギルベルトがいるのかよくわかってないんですが、とにかく。
きみに決めた!
さあ、遂にこの日がやって来ました。
すべてが終わり、すべてが始まるこの日が。
それぞれの思い、それぞれの正義を胸に、いざ出撃!
戦闘準備です。
仲間は東西に分かれており、市街地を縫うように進軍することが求められます。
狭い路地の中で翼魔獣の攻撃を受けると厄介なので、しっかり場所を選んで慎重に戦う必要があります。
東に弓砲台、西に魔道砲台があるので、魔法に比較的強いユニットと、飛行系ユニットを西に集めました。
また、宝箱があるのでセテスに宝の鍵を持たせておきます。
正義のためと嘯いて人殺しの道を選んだ皇帝の腹心がなんか言ってら。
西はウォーロックとフォートレスに対して迎撃態勢、東は間接攻撃と再移動を駆使して敵の数を減らしつつドゥドゥー戦法。
近くの敵をあらかた排除し終えたら、西はドロテア目がけて突進する構えを取り、東は宝箱を回収しつつ微速前進。
魔道砲台の攻撃がギルベルトさんに向かってきたら、チャンス到来。イングリットとセテスのいつものコンビネーションで、ドロテアに速攻を仕掛けます。
さようなら、ドロテア……。
きみがイングリットを助けてくれたこと、ちゃんと覚えてるからな。
ドロテアを突破したら、背後から増援が来る前に翼魔獣に対処します。
前線の翼魔獣三匹を突破。
あとは残りの翼魔獣に気を配りつつ、ヒューベルトに迫るだけです。
ペトラはこちらが攻撃範囲内に入るまで、攻撃範囲を見せないという反則技を使ってくるので、ドゥドゥーで安全におびき寄せて容赦なく屠ります。
そんなズルっ子には、こうだ!
さようなら、ペトラ……。
ついつい翼魔獣に攻撃したくなる局面ですが、左右のサンダーストームが枯れるまで我慢。
東の翼魔獣はこれで片付きました。
西部隊に合流します。
ちょうどこのタイミングでサンダーストームが枯れるので、周囲の敵に飛行部隊でひとりずつちょっかいをかけて撃破していきます。
砦からウォーロックの増援が出始めますが、すべてイングリットの養分にします。
その間、本隊は先に後ろから来ていた増援の翼魔獣に対処。
マップ南西に存在する教会にセテスとフレンが近づくと、なんと特殊なメッセージが。
増援狩りにもそろそろ飽きてきたので、翼魔獣を始末してヒューベルトに引導を渡しに行きます。
さようなら、ヒューベルト……。
帝国に残された最後の兵力を、最後のひとりになるまで完膚なきまでに叩きのめしました。
あちらから仕掛けてきた戦争です、文句は言わせません。
城では、エーデルガルトが待っています。
正真正銘、最後の戦いです。
皆が皆、決戦に向けて意気込んでいます。
長かったベレトとディミトリたちの戦いにも、遂に終止符が打たれようとしています。
さあ、行きましょう。
皇帝の元へ。
その頃。
不気味な音と共に、エーデルガルトの身体に変調が訪れます。
そして……。
憎み合い、食らい合うしかない。
そういう運命の下に生まれたふたり。
だからこそ、ディミトリは最後までエーデルガルトの意志に応えるのです。
そんな思いをもって、玉座へと進んだ皆が目にしたものは。
もはや執念だけで動く骸と化した、変わり果てた姿のエーデルガルトでした。
今回はここまで。